こんにちは。今日は分泌過多なのに、あまり体重が増えないというお話です。
1か月健診にて体重増加不良にて相談されたケースです。今日は会話形式で書いてみました。
<あかちゃんとお母さんの様子>
生後4週の新生児。産科退院後の体重増加が24g/日であったため、
このまま母乳だけでよいか健診担当医から相談された
児は37週5日 出生体重2700g
日齢5 体重2600gで退院。退院時の記録では母乳分泌は良好で体重も日齢4から5にかけて28g増えていると記載されていた。日齢27に1か月健診のため来院。体重は3120g。全身状態は良好で、1日に排便6-7回色は濃い黄色、排尿は1日に10回程度ありとのこと。
助産師:今日、1ヵ月健診だったのですね。いかがでしたか?退院後の生活は。
母親:はじめての子どもということもあり、毎日が不安でした
助産師:最初の1ヵ月はみなさん不安になるものですよ。
1か月健診で赤ちゃんは元気に育っていると小児科の医師より聞きました。
よかったですね。
お母さん、不安を感じながらも立派に子育てしていらっしゃるということですね
母親:ありがとうございます。でも体重があまり増えていなかったので心配です。
生まれたときから500gちょっとしか増えていなかったので、とてもショックでした
1週間前に訪問の助産師さんがいらして、乳房マッサージをしてくださいました。
そのときもおっぱいは飛び散っていました。
助産師さんは“よくおっぱいでるわねー”といわれたので、安心しきっていたのです・・・
助産師:赤ちゃんは生まれてから一度体重が減るので、
増え始めてからの体重増加を考えたほうがいいですよ。
○○ちゃんは退院してからの増え方を計算すると24g、1日に増えています。
よく増えていますよ。
母親:そうなんですか?500gちょっとでとても少ないように思いました。
こんなにおっぱいがでるのに体重が増えないということは
おっぱいの質がわるいのでしょうか?
助産師:・・・・・。一度、赤ちゃんが飲んでいるところを見せていただけますか?
★訪問の助産師が“よくおっぱいでるわねー”と話しており、乳汁分泌はよさそうである。
乳汁分泌は良好であるが、体重がおもったほど増加しない理由としてどのようなことが考えられますか?
実際に飲んでいるところをみると・・
母親は時計をみながら3分したら反対側を授乳している。
助産師:3分で切り替えているのですか?
母親:はい。両側からのませるにはこれくらいで切り上げないとだめなのです
助産師:片方をしっかりのませてあげましょうね。
脂肪分の少ないおっぱいをたくさんのませていると、
ガスがふえて吐きやすくもなります。
またカロリーが少ないのでたくさん飲む割に体重が増えないということにもなります
母親:そうだったのですね。おっぱいの質がわるいわけではないのですね。安心しました。
これでわかりましたね!乳汁分泌過多であり、かつ両側乳房から授乳するため、
前乳を多くのんでいたのでした。
全乳とは最初にでる母乳のこと。それよりも、後半にでる母乳の方が、脂肪分も多くカロリーが高いのですが、
3分で切り上げていたため、高カロリーの母乳が与えられえていないためではないか、ということです。
このお話のポイント
・母乳には乳糖が多く含まれており、回腸まで乳糖の消化吸収が続く。
・不消化なまま還元糖として大便に排泄される(⇒血糖の急激な上昇を防いでいる)。
・最終的に大腸まで達した乳糖はビフィズス菌の増殖にも役立っている。
・大腸の細菌が乳糖がたくさんはいってくることでガス産生が増加する