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  • 執筆者の写真drmizunosmilechild

1歳の授乳中のお母さんのお薬について


助産師さんからのご質問です。

公開可能でしたので、こちらで掲載します。

おかあさんにはすこし難しいお話かもしれませんが、

最後の結論だけでも見ていただくと、お薬はそんなに母乳に影響しないことを

すこしでもわかっていただけるかなと思います。

お名前:よねこ  助産師

タイトル:薬について

1歳 の子供がいるママが円形脱毛症になり、皮膚科の医師から内服治療のため断乳をするように言われました。薬の名前は、セファランチンと言います。赤ちゃんも不安が強く、ママも母乳をまだやめたくはないそうです。 母乳をやめなくて良いお薬がないか、患者さんにも再度、相談してもらうようにお話はしましたが、セファランチン自体の影響が本などを調べてもわかりませんでした。 ご意見よろしくお願いいたします。

大きな影響はないだろうと考えますセファランチンの成分はタマサキツヅラフジ抽出のアルカロイド(窒素を含む塩基性の植物成分の総称)です。このタマサキツヅラフジは、中国南部や台湾の平地から山地に生える植物です。生薬として炎症・結核などの治療薬として用いられます。また、白血球保護作用があり、白血球減少を伴う疾患に効果があるとも言われています。その他にも、血行促進させることで、育毛や円形脱毛症などに効果があります。 セファランチンの分子量は606.71ダルトン、脂溶性であり、乳汁移行はしやすいでしょう(乳汁移行に関するデータはラットしかありませんが、血中濃度より1.3-1.8倍と記載されています)。

ただし、バイオアベリラビリティ-は6-9%と高くありません。

つまり、内服してもあまり効果的ではないということになります。 脱毛症に対しては通常1回1錠(1mg)を1日に2回のみます。

血液中濃度の推移をみますと10㎎服用したあと最高濃度には1.1-2.5時間で到達します。半減期は4.1時間です。 ただし投与量が少ないほうが半減期は短くなるようです(30㎎内服すると9.2時間) 最高血中濃度(10㎎内服)は0.53ng/ml。

乳汁中にこの1.8倍でるとしても1ng/ml未満です。

1㎎内服ですと0.1ng/ml未満ということになります。

1歳ですのでもう300-400mlと思われますので、400ml母乳を1日に飲むとすると40ng/日を最大で摂取することになります。

これは0.00004mgとなり1錠の1万分の1以下の量になります。 なお、小児に投与する場合は観察を十分に行い慎重に投与することとあります。

つまり禁忌ではないようです 結論としては、代謝機能も成熟している1歳のお子さんが1日に数回授乳をしたとしてもおおきな影響はないだろうということになります。

ましてや小児に使ってはいけない薬ではないわけです。

もちろんお母さんに情報をお伝えしてご心配であれば授乳を夜だけにする(この場合薬を朝はやめと夕5時にのむと夜0時には7時間経過していますので、

さらに母乳中濃度は低下していると考えられます)のも方法でしょう。

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