おはようございます! 引き続いてお母さん目線での母乳育児に役立てていただきたいことを書き綴ります みなさまからの忌憚のないご意見はとても大切です。どうぞお寄せ下さいね。 ****** 赤ちゃん訪問や1か月健診でつぎのようにいわれることがあります。
“体重の増え方が少ないからミルクを足しましょう”
そういわれたらまず、どの程度少ないのかをたずねてください。
“1日に30gふえていないから・・”とか“1日に35gふえていないから”と
いわれることもあります。
計算はどのようにしているのかも確認してください。
もし、生まれた時の体重(出生体重)から計算しているとかなりハードルが高くなります。
どういうことかというと、
赤ちゃんはうまれていったん体重が7%くらいへります。(生理的体重減少と言います。)
ですので、3000gでうまれたお子さんは2800gくらいまでへるのです。
そこから、もしくは、体重が増え始めてからの1日の平均体重増加を計算しなければならないです。
仮に30gずつ増えたとしても、生まれた時の体重に戻るのに、1週間かかるのです。
ピークまで減るのにかかる日数と、出生児の体重まで戻るのにかかる日数があるのに、
それを計算せずに、
出生時から30gずつ増える計算をしたら、ほとんどの赤ちゃんはその基準をクリアできません。
1か月健診で出生体重から1kg増えていないと母乳不足といわれる先生もいらっしゃいますが、
それはかなり無理であることもわかっていただけると思います。
つぎに、本来どの程度の体重増加があればよいのかという問題がでてきます。
うまれて1-2か月は平均して1日に25-30g増えていれば
すぐにミルクを足すということにはなりません
(日本小児科学会から2011年に“小児科医と母乳育児推進”がでており、そのなかでも25-30gと記載されています)。
ですので、“1日30g増えていないからミルクを足しましょう”とか“
一か月健診で出生体重から1kg増えていないとミルクを足しましょう”
というのは個人の価値概念もしくはセントラルドグマといえるのです。
以前も記載しましたが、周りの価値概念にとらわれない、社会通念にとらわれない、ことも
子育てでは大切になります(もちろん行き過ぎはこまりますが)、
むしろ周囲がお母さんの思い描く子育てに近寄って
サポートしていく方向にベクトルが向いてほしいのです。
体重増加で粉ミルクを足すかどうかを一回目の診察で決めないよう赤ちゃん訪問をされている方や
小児科医にはお願いをしています(脱水の症状で2日も待てないような状況なら別ですよ)。
そのうえで ⦁ 母親の思いをしっかり受け止めて・・・ ⦁ 必要に応じて母乳育児の専門家に相談するなどの対応を取り、
赤ちゃんが飲み取る母乳の量を増やす方法をまず考えてください。
<赤ちゃんが飲み取る母乳の量を増やす方法のいろいろ>
*赤ちゃんが乳房に適切に吸着できるよう抱き方や含ませ方を見直してみる
(母乳相談外来で相談する)
*授乳回数を増やす(ほしそうかなとおもったらお胸に抱っこしてみる)
*赤ちゃんの満腹や空腹のサインを確認する。
*時間をみて反対のおっぱいをあげるのではなく、
赤ちゃんの様子を見て片方の授乳がしっかり終わってもう一方を授乳する
*児と肌を直接触れ合わせ、ぴったりと抱くよう励ます
*おしゃぶりや人工乳首、乳頭保護器をできるだけ使わないようにする
*赤ちゃんがぐずったらなだめるためにおっぱいを与えてみる
*母乳の流れを良くするために授乳している最中に、乳房を優しくマッサージをする。
乳房を優しく圧迫して赤ちゃんが飲みとれる量を増やす方法もある。
*授乳と授乳の間に搾乳をしてみる。
*得られた母乳はコップやスプーンでもあげられる
こんなにやんなきゃいけないと思うかもしれませんね。
でも数日だけやってみてください。
軌道にのれば楽になります。
自転車とおなじ、いったんのれるようになったらどんどん楽になります。
でも乗れるようになるまではこけて擦り傷ができることもありますよね。
もうひとつ大切なのは、周囲のサポートです。
授乳や赤ちゃんのお世話と、お母さんの休息や食事などの時間のバランスを
どうとるか家族と考えてみてください。
授乳に加え、搾乳もする場合、家族からの援助は
お母さんの精神的・肉体的負担を軽減するために役立ちます
さて・・そんなこんなで頑張って2日が経ちました(と仮定します。)
2日後にきていただき(再度訪問し)体重をはかります 体重の増え方がよくなっていれば、その方法を継続すればよいのです
どうしても赤ちゃんのときはからだが大きいほうがいいと考えられがちです。
そうはいっても、赤ちゃんにも体重の増えるパターンは個人差があります。
赤ちゃんが本人のペースで適切に増えているのに、
余分な人工乳を与えると肥満につながるかもしれません。
最後に
お母さんに伝えたいこと:
もし体重の増え方が少ないから粉ミルクを足しましょうといわれたときに
相談できる母乳育児に詳しい医療者をできるだけ妊娠中に見つけておいてください。
母乳育児は二人三脚で進んでいきます。 *** 今日も皆様にとっていいこと、素敵なことがいっぱいありますように!!